女性部会では女性がイキイキと働き続けられるためにをビジョンとしています。
そこで、今回はプライベートでもし、パートナーとの間でトラブルがあったとしても、一人で悩まないでしかるべき対処をとれるようにと
少し踏み込んだテーマではありますが、一つの知識としてぜひ、知っておいてほしいと思います。

ドメスティック・バイオレンスについて
ドメスティックバイオレンスとは
英語で「Domestic Violence(ドメスティック・バイオレンス)=家庭内暴力」の頭文字を取って略したものとしてDVと呼ばれています。
一般的には配偶者(夫。事実婚、元配偶者を含む)や恋人など親密な関係にある(または親密な関係にあった)人から行われる、さまざまな暴力のことをいいます。
しかし、ご存じですか?内閣府男女参画局が掲げる主な政策に女性に対する暴力の根絶があり、ここにはDVも含まれ、国を挙げて根絶すべきとされています。
配偶者からの暴力を防止し、被害者の保護等を図ることを目的として制定された「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」は、「DV防止法」と呼ばれることもあります。配偶者暴力防止法においては、被害者を女性には限定していません。
しかし、配偶者からの暴力の被害者は、多くの場合女性です。(内閣府男女男女参画局ホームページより引用)
もし万が一、自分自身、家族、友人、知人がDV被害に遭ってしまったとき、自分自身や家族や友人の身を守るためにもどのような行為がDVにあたるのかを知っておくことは重要です。
どのような行為が『DV』にあたるのか
では、具体的にはどのような行為がDVにあたるのでしょうか。
⑴ 身体的暴力
まず、身体的暴力が典型的なDVです。殴る、蹴る、といった身体に対する暴力のことをいいます。
⑵ 精神的暴力
ひどい言葉を投げかける(「デブ」、「ブス」、「社会的敗者」、「お前なんか一人で生きていけるわけがない」等)、嫌がらせ、大声で罵る、人前で馬鹿にする、社会的相当性を欠く束縛、行動制限(人付き合いを制限する、外出を制限する)、子どもや実家に危害を加えると脅す、などにより被害者を精神的に追い詰める行為をいいます。
気が付かない間に、精神的暴力を受けている環境に慣らされてしまっていて、自身が「精神的暴力」を受けていることに気が付かず、その環境から抜け出そうとする意欲さえいつの間にか奪われてしまうことがある、という問題があります。
精神的暴力の被害を受けている場合、周囲の積極的なサポートが必要な場合があります。
⑶ 経済的暴力
相手に「経済的な自由を与えない」という暴力です。生活費を渡さない、仕事を行うことを許さない(仕事を辞めさせる)、相手のお金を勝手に使う、相手の名義で借金を作るなどの行為がこれにあたります。
⑷ 性的暴力
相手の性的な自由を侵害する暴力です。性行為を強要する、避妊に協力しない、無理やりアダルトビデオを見させる、中絶を強要するなどです。夫婦間や恋人どうしでも、性行為に同意しなければならないわけではなく、相手に性行為を強要することは性的暴力にあたり許されません。夫婦間、恋人間でも性行為の強要が性行為強制罪(強姦罪)が成立します。
DVに関する法律
⑴ DV防止法(「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」)
まず、DV防止法により、DV被害を受けた場合の相談窓口、保護施設(シェルター)が整備されています。また、警察官による介入(被害の防止)、裁判所による保護命令(接近禁止命令等)を定めています。裁判所の保護命令に違反した場合は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されます。
DVを受けても、経済的自立が困難であることや、報復を恐れ、多くの女性がDV被害から抜け出せないでいます。政府は相談窓口を設け「DVかも?」と思ったらまず相談を、と呼び掛けています。
⑵ 刑法
DVは犯罪です。DVによって以下の犯罪が成立する可能性があります。
① 暴行罪(2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金:刑法208条)
② 強制性交罪(強姦罪)(5年以上の懲役:刑法177条)
③ 侮辱罪(拘留又は科料:刑法231条)
⑶ 民法
次に、DVは民法上の不法行為にあたり、損害賠償(慰謝料)を請求することができます(民法709条)。また、DVは「婚姻を継続し難い重大な事由」として離婚原因になります(民法770条1項5号)。
DVを受けている間は、慰謝料請求や離婚などは直ちに思い浮かばないかもしれませんが、シェルターなどで身の安全を確保したうえで、支援機関と相談しながら法的手続きを検討するとよいでしょう。
もしDVに被害に遭ったら・・・
DV被害に遭ったら、以下の手段がとれます。
⑴ 相談窓口に相談する。
DV・児童虐待対策 - 主な相談窓口 0120-279-889 DV相談窓口プラス(電話・メールでの相談24時間対応、チャット対応可)
全国の相談窓口
配偶者暴力相談支援センターの機能を果たす施設一覧
https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/e-vaw/soudankikan/pdf/center.pdf
⑵ 警察に連絡する。
⑶ 弁護士に連絡する。
⑷ どこに相談したらいい?
今、配偶者からの暴力を受けている、という場合には、迷わず警察に連絡しましょう。被害者の方が望まない場合には、すぐに逮捕、起訴されるわけではありません。今、暴力を受けている、という緊急性がない場合には、上記の相談窓口に連絡するか、弁護士に連絡してください。相談窓口に連絡した場合、シェルターを紹介してくれたり、その後、どのような法的手続きをとることができるか相談に乗ってくれます。
場合によっては弁護士を紹介してくれます。弁護士に相談した場合も同様の相談に乗ってくれるほか、必要な法的手続きをとってくれます。
監修

芝田 麻里(しばた まり)
芝田総合法律事務所
代表弁護士
環境法、とくに廃掃法が専門。
廃掃法に関する法的トラブル、行政間交渉、事業承継、M&Aなどを手掛ける。
予防的司法を重視。
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